部活が始まるまえ。
「愛衣!!」
『どうしました?ナリ先輩たち』
「めいちゃんって彼氏いんの?」
ミヤ先輩は宮原昇さん、この人は副キャプテン。
人気もあるけど彼女さんもち。
彼女さんもまた美人で有名。
『え?いるわけないです』
「でも!サッカー部の奴らが英に抱きつかれてるとこ見たって!」
ナリ先輩は私の肩を勢い良く掴む。
「なりつぐー、めいちゃんの肩の骨折れる」
「え?!あ!ごめん!!」
なんかナリ先輩、焦ってる?
なんで?
『あいつとはただの腐れ縁で、家が隣なだけです』
私があいつと付き合うなんてあり得ない。
あんな奴のそういう関係になるなら死んだほうがマシ。
「良かったぁー」
え?
何が良かったの?
え…もしかして…ナリ先輩
『もしかして…』
「めいちゃん、やっと気づいた?こいつね『いえ!だ、だだれにも言いませんよ!』ん?!何か勘違いしてない?!」
いやそういうことでしょ?
『な、ナリ先輩がほら…りつをす、好きって言うことはね!
悪いことじゃないし!
と、とりあえず私は準備してきます!』
「え?!めい?!」
私はとにかく逃げる。
ーードン!
「っぶね」
誰かの手が私の背中を引き寄せる。
『ありがと、さっちゃん』
「ん、ちゃんと前見なよ」
菜々崎朔良は彩菜の幼なじみ。
イケメンでモテモテ。見ての通り紳士でこの人も大変…
『さく』
「ん?」
雰囲気が少し楓さんに似てて惚れそうになったけどね
ま、さくも好きな人いそうだし。
『さくは彩菜のことすき?』
「あ~まー、腐れ縁だし、嫌いにはれない」
『やっぱりそんなもんか』
腐れ縁ていうのは不思議なもんで、キライなんだけど
嫌いになれない部分が多くて
実は少し困ってる。
「りつ…のこと」
『ううん…』
りつのことだけど。
楓さんのことでもある。
振られたけど、まだ少し残ってる。
「この前女と堂々とキスしてた」
『いつものことか…』
ていうか、
さくは抱き寄せたままわたしを離さない。
『そろそろ離せーい』
「むり、」
『勘違いされたら「いいし」え?』
さくは黒髪を風に揺らしながら笑う
「めいとなら別に問題ない」
『え、いや、私がダメ
君のファンに殺されるから』
ダメだ。
イケメンの笑顔は少々心臓に悪い。
「あ…」
後ろから声がした。
『ナリ先輩たち』
「お疲れさまです」
さくは相変わらずの冷静さでいる。
先輩たちは私たちの格好に驚いてる。
「ふ、ふたりなにしてるの」
「ナリ先輩見てわかりませんか」
『ちょ、朔』
朔は意地悪な顔をして笑う。
「さすがドエスさくちゃん、そのエスっけナリにもあげて」
「みやさん、優しすぎるナリ先輩には無理っすよ」
『あーまぁー』
「え?!」
ナリ先輩は私たちを見て一言いう。
「俺!ドエスになるし!」