「…そういえばー、パートリーダーって、どうやって決まるんだろう?」
突然のカリンの言葉に、はっとした。
────パートリーダー……
4ヶ月後には、私かカリンのどちらかが背負わなければいけない役目────
カリンは続ける。
「アカリ先輩が引退した後は、カリンか志帆か、どっちか決めないといけないよね」
「確かにね。松本先輩もアカリ先輩も、パート内で同じ学年の人がいなかったから、自動的にパートリーダーになってる感じだったけど、この学年は私とカリンの2人だもんね」
「立候補かなー、推薦かなー……カリン、パートリーダーには絶対なりたくないよー!カリンにはリーダーなんて無理だよお〜〜〜」
そう言いながら、駄々をこねる子供みたいに何度も跳ねているカリンを横目に、私は洗い終えたマウスピースをタオルで拭きつつ、パートリーダーという言葉の重みを考えていた。
かつて松本先輩が背負っていた役職────
パートのみんなをまとめ、中心となって指導をする。
「私……パートリーダー、やってみたい……」
そんな私の呟きを聞いたカリンが「えーー!志帆、すごーい!!さすがーー!」と声を上げる。
「私、もっともっと、誰かの役に立ちたい……そう思ったんだよね。
私はずっと、自分は何の役にも立てないって思ってるから……
だから、誰かの役に立ちたいって思いもあるし、誰かに頼られるような人になりたいって思いもあるし、自分を変えたいって思いもある」
心の中に芽生え始めた思いをありのままに言葉に表す。
それを聞いたカリンは、「じゃあ、立候補制なら、絶対に志帆で決まりだね!推薦でもきっと、志帆になるでしょ!カリンよりずっとしっかりしてるし!」と言った。