その後、私とカリンは、次から次へとやって来る1年生の相手を続けた。


部活に入っていない生徒は5時が最終下校になっているので、5時が近づくと1年生たちはどんどん帰っていく。


1年生が全員帰ってしまうと、さっきまでの賑わいが嘘のように、音楽室は寂しくなってしまった。


私とカリンはマウスピースを洗うために廊下に出た。


太陽はさっきよりも傾き、窓の向こうに見える運動場も、その遥か向こうに見える海も、オレンジ色の光に包まれて輝いて見える。


光に照らされながら、私とカリンで二人並んで水道の前に立ち、マウスピースを洗っていく。


ふいにカリンが口を開いた。


「アカリ先輩が引退したら、こんな風にカリン達だけで後輩の面倒見なきゃいけないんだよね…

カリン、今からめっちゃ不安だよ〜」


私は今感じている思いを言葉にしながら、カリンの言葉に答える。


「私も…最初は不安だったよ。

でも、今日、なんか、気付いたんだ。後輩に教えるって、なんだか楽しいし、早く先輩になりたいなーって」

「えー!?そうなのー!?」

「うん、そうなんだよね」