「…ふふふっ」



ユリカさんが突然笑いをもらした。



「…?」



「…ごめんなさい。その、…彼にもあなたと似たようなこと言われたものだから」



…彼?



「…福嶋くんのことですか?」



「ええ」



ユリカさんは手を口元にあてて上品にクスクス笑う。



「もっと早く会いたかったわ、あなたたちに。…って言ってもまだまだ私の人生これからだから、ぜんぜん遅くないかしら」



「ユリカさん…」



ふいに顔に影が差した。



ユリカさんが自分の日傘をあたしにも差し掛けてくれたのだ。



「あ、あたし持ちます」



「いいのよ、私に持たせて? 今まで誰かのために自分の労力を費やした経験がないの。記念に、ね?」



ユリカさんがいたずらっぽく笑う。



「それに、熱中症になるといけないから。あなたの人生も、まだまだこれからからでしょ? シミでもできたら大変だわ」



クスクス笑うユリカさん。



「…すみません」



一応UVケアはしてるんですけど…



今日の紫外線は女の子にとってはちょっと大敵です。



あたしはお言葉に甘えてユリカさんの差す日傘のなかに入れてもらった。