「…あたし、ユリカさんは間違ってると思います」
「え…」
「だって…あたしならたとえ大学卒業まで親に自由を奪われていたとしても、自分の結婚相手だけは絶対に自分で決めたいって思う。自分の意思で『この人!』って決めたいって思う」
あたしだったら自分が好きになった人以外のところにお嫁に行くなんて絶対に考えられないし、ましてや見ず知らずの人のところになんて絶対にイヤだ。
「あたしなら、そんな結婚をするくらいならどんなに大切な家族でもかなぐり捨てて、大好きな人のもとに飛んでいきます!」
「…村瀬さん」
力説したあたしに圧倒されたようにユリカさんは目を丸くしている。
あたし、勢い余ってユリカさんに力いっぱい自分の考えをぶつけたように、
そんな大胆な女じゃないけど、西崎さんに4年半も想いを伝えることができないチキンなヘタレだけど、
でももしもあたしがユリカさんと同じ境遇なら、あたしはユリカさんのようには絶対に生きれない。
どんなに頑丈な鍵がかかっていても、
翼を折ってでも絶対に籠のなかから飛び出して“自由”をつかんでみせるよ――