『きっと飛行機を待ってる間にロビーのベンチに置き忘れてきたのよ』



半べそをかいていたあたしに麻由さんが言った。



ロビーのベンチとか…



あたし、うっかり者すぎる…



ううーーー(ToT)



ヘコんで立ち直れないあたしに麻由さんは『困ったわね』と自分のバッグを探り出した。



『あら、ちょうどいいものがあったわ』



と、バッグから取り出したのはウッドバングル。



アンティークな木目が重厚感たっぷりで、
ひとめ見た瞬間、これ福嶋くんに似合うかも!なんて思った。



『その不運な彼にこれをあげなさい』



麻由さんはクスクス笑ってあたしにウッドバングルを握らせた。



『…でも、いいんですか? 麻由さんの私物じゃ…』



『いいのよ、それメンズだし。
それに一応“純イタリア製”よ――?』