あたしは福嶋くんとユリカさんと呼ばれた女性を交互に見つめる。





なに?



なになになに?



何なの?



このあやしい空気…





まるで時間が止まってるかのように2人は見つめ合っている。



福嶋くんを見るユリカさんの目は、何だか恋をしているような切ない瞳だし。



そんなユリカさんの熱い眼差しを福嶋くんは逸らそうとしないし。



何だろ…



恋人同士ってわけじゃないよね…?



だってユリカさん、左手薬指に結婚指輪してるし…





はっ…ままままさか、ふふふ不倫――!?





「……」



見つめ合ったまま何も話さない2人。



気まずい空気。



何だかあたしはここにいちゃいけないような気がして、席を外そうとそっと後退りした。



すると、



そんなあたしの行動が目の端に映ったのか、
福嶋くんの手がとっさに
ユリカさんからは見えないカウンターの下で
まるで行くなとでも言うように、あたしのエプロンの端をぎゅっとつかんだ。







―――え?