「そいつに勝ちたいなら、また越えられるように練習すればいい。俺も、越えたい奴がいるんだ。」


越えたい奴。


「それって、東吾のライバル?」


「あぁ。・・・・・・・どうしてもそいつに勝ちたい。俺も由紀と同じだよ。」


「・・・・・・・・同じ?」


「みんな声に出さないだけで誰にでもライバルはいるんだよ。だから、由紀も今は落ち込んでも、またそいつに挑めばいい。」


なんでかな。


なんでか分からないけど、東吾の言葉が心にストン、ストンと落ちてくるみたい。


スッと心に入ってくる言葉。


「・・・・・・私、また頑張れるかな?」


「うーん。・・・・由紀なら大丈夫なんじゃない?」


「どうして?」


「なんか、負けず嫌いそうだから?」


あはははっと笑う東吾。


「えー!?初めて言われたよ。・・・・・でも、ありがとう。なんか、またバスケ楽しんでやれる気がする。」


「うん。・・・俺も頑張るから、由紀も頑張ろ。」