「なっ!?そんなに笑わなくて、いいじゃんっ!!」


私はタオルで顔を拭く。


思いっきり泣いたらちょっとだけスッキリした。


私が顔を拭き終わるとその男の子は私の隣に座った。


私はタオルを畳んで返す。


「・・・・ありがと。汚してごめんね。」


「いや、俺が渡したんだからいいよ。」


「えと、あの、名前は?」


「俺?俺は東吾。お前は?」


「私は由紀。四月から高校生。」


「あっ、俺も。・・・なんだ、同い年か。」


「同い年で悪いの?」


「いや。てっきり年下かと。」


そう言うと私のリュックを見る。


「・・・・・何その荷物。もしかして、家出?」


「違うよ!!・・・・・部活で最後の試合があったの。これは部室に置いてた荷物。」


最後の試合って言葉を言っただけでまた涙が出てくる。


「えっ!?・・・・なんでまた泣く?」


男の子は私の顔をのぞき込んで聞いてきた。


私は頑張って涙を引っ込めた。


「・・・・・・どうしても勝ちたかったの。ライバルに。・・・・・・・でも、勝てなかった。最後まで、勝てなかった。」


私が前見てそう言うと男の子が言った。


「・・・・ライバルか。由紀は何部なの?」


私は腕に着けてたリストバンドを見せた。


「バスケ!!」