だから帰り際に俺のリストバンドを渡した。


その時スマホを持っていなかったから、連絡先を聞けなかった。


でもなんか繋がりが欲しかった。


もし俺のあげたリストバンドを付けていたらどこかでまた会ったときに目印になるんじゃないかって。


そしたら由紀が自分のリストバンドを俺にくれた。


それだけで嬉しかった。


俺の白のリストバンドには[越えろ]の三文字が書かれている。


俺の目標であり、大切な言葉。


今の由紀にぴったりだと思った。


由紀は今度会った時に俺のにも書いてあげると言った。


また会える気がする。


直感でそう思ったから言ったけど、なんの根拠もない。


でも、少しの時間だったけど、由紀と話しているうちに俺の中でなにかが変わった気がした。


もちろん悔しい気持ちもあるけど、なんかスッキリして心が軽くなった。


それが由紀との出会いで、俺が由紀に恋した日。