なんで泣いていたか聞けば、試合に負けたからって言った。


ライバルに負けたらしい。


なんだ。


俺と同じじゃん。


名前は由紀って言うらしい。


何部か聞くと付けていたリストバンドを見せてバスケと言った。


俺は嬉しくなって自分の腕を見せた。


色違いのリストバンド。


俺のは白で由紀のは赤だった。


話を聞く限り、由紀は負けず嫌いで努力家だ。


どうしてもそいつに勝ちたかったんだろう。


高校でもバスケをするのかって聞いたら分からないと言った。


俺はなぜか咄嗟に諦めんなって言っていた。


後から思えば俺が言えることじゃないんだけど。


由紀に言った言葉は全部自分に言っているようだった。


偉そうに言ってるけど、本当は自分だって高校で続けるか悩んでいた。


でも話しているうちにやっぱり辞めれないなって思ったんだ。


まだ颯十に勝ってないのに辞めるなんて逃げてるみたいだなって。


頭の中で考えていると由紀が頑張れるかなと聞いてきた。


俺は負けず嫌いだから大丈夫だと言った。


その時、・・・・・・初めて笑ったんだ。


凄く可愛いと思った。


泣いた後だからちょっとだけ目が赤かったけど、由紀の笑顔が儚く見えた。


きっと、由紀の笑顔に俺は一目惚れしたんだ。


もう1度笑ってほしいって思った。