……まあ、黎は毎回、不味い、もう飲みたくない、こいつの血は黒い――などとお気に召さないようだが――だからこそ良かったのだ。
好む血であれば、喰らいつくすが性(さが)の吸血鬼。
黎がそれに倣うかはわからないが、澪の血を好んで飲まれても困るのだ。
――それを今、見守っている最中だったのだ。
先ほど澪から連絡があった。
『黎の様子がおかしい』
孫が伝えた内容はそれだけだ。
あの孫は自分に陰陽師性がないのをどう思っているのだろうか。
……劣等感だろうか、ものすごく性格が歪んでいる。
人間としては有能――優秀な孫である。
現在医学部に在籍し、入学は首席だった。