「………おい」


《では、私はこれにて》


「勝手に寝るな門叶(とが)! 明らかに浮かれてどこへ行くんだあの馬鹿は!」


《恋人のとこですかね》


「そう思うんだったらそこまで見届けて来い! その先が一番肝心なんだ!」


《だってキモかったんですよ》


「あれに恋人とかいたら桜城に何や言わなければならなくなるんだぞ」


《頑張ってください、ご主人様。私は桜城の鬼は苦手なのでこの屋敷からお見送り致します》


「せめて門前までついて来い!」
 

ぜえぜえ荒く息をする古人。
 

老体に鞭打ちすぎた……。