殺されかけたことや血がどうのというのは言わずに、ぼやかした言い方になってしまったが……逢いたい人がいる、その気持ちは総て話した。


「………」
 

真紅はこっくり肯いた。
 

暁になっても消えない想い。
 

どうすればいいのか。


「そうね――」
 

紅亜(くれあ)は立ち上がり、押入れから真紅の習字道具を持ち出して来た。
 

選択授業で取っているので、開けてすぐの場所に置いてあったのだ。
 

その中から下敷き、半紙、文鎮、硯に墨を流し、筆を取った。


「……ママ?」