気づけば薄闇の部屋でうずくまって泣いていた。
 

金切声の母に見つけられて、真紅は顔をあげた。
 

首が痛い。
 

どれだけの時間を小さくなって過ごしていたんだろう。


「真紅ちゃん? どうしたの、包丁で切ったの?」
 

背中に手を添える母。綺麗な人だった。
 

ずっと変わらない凛とした美しさの人だった。
 

少し冴え冴えとした面差しながら、雰囲気が柔らかいお母さん。


「ま、ま~……っ」
 

抱き着いた。
 

切ったように痛い。
 

どこだかわからない。ただ痛い。


「……助けてくれた人に?」