でもいつかは逢う人だからとすがってしまうのだろうか。
 

……でも何で料理?
 

苦手なことに向かっている自分。自問してしまった。
 

何か出来ること、何かしたくてしょうがなくって。
 

ただ立って待っているだけは出来なくて。
 

目についたことをしてみた。
 

……全く使った気配のないキッチン。
 

料理をしないでいたのは、母との繋がりだったからか。
 

記憶にある母は、とても上手に、手際よく道具と材料を動かして。
 

美味しいご飯を、作ってくれた。
 

だから、母頼り切りでいることが、真紅は無意識に母へ繋いでいる糸だった。
 

母と離れて暮らして、恨むことはなかった。
 

知らない恋人といても、変わらない母だった。


「真紅ちゃん⁉ どうしたの⁉」