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何だか料理を頑張ってみようと思った。


「あつっ!」
 

熱したフライパンに指が触れてしまった……。
 

真紅は手を流水につけて、ため息をつく。


自分はキッチンに嫌われているんだろうか。


むーっと唸りながら蛇口を捻る。
 

それでも、頑張ってみようと思って、頑張るんだと決めた。


「自分がこんな女の子っぽいのキャラじゃないんだよー……」
 

けれど次に出るのは愚痴の混じった息。
 

そしてまた次の瞬間には頑張る思いでいっぱいになる。
 

天秤がぐらぐらし過ぎている真紅だった。
 

もう逢えないという人を想って、何をしているんだろう。