「僕は2人きりで会えて嬉しかったよ」



2人きり。

ありきたりな単語ひとつで、こんなにも、心の臓をえぐられる。



後ずさるしか、できなかった。



「手紙は読んでくれた?」


「読むわけないでしょ」



震えながらも睨んでも、善兄は怯える素振りを全く見せず、甘ったるく瞼を伏せる。



「……まいっか。どうせもうすぐわかることだし」



何?

何が、わかるっていうの?




「本当はもっと2人きりで話していたいけど、幸珀も突然のことに動揺してるみたいだし、今日はもう帰ることにするよ」



いやに2人きりにこだわる善兄を、さらにきつく睨んだ。



大歓迎だ。

さっさと帰れ。


もう二度と、私の前に現れるな。