私は先生のそばを離れ、リビングの方に歩いていく。


異臭がすると思ったら、先生の股の部分は黄色い水で湿っていた。



ベランダに続くリビングの窓を開けると、寒々しい風が入り込んできた。



『それじゃあ先生、また明日』



そう言い残して、ベランダから飛び降りた。


遠くで『えっ、ここ2階……!』という驚きの声が、耳をかすめる。



下に大きな木が在るというのはわかっていたから、ベランダから木に飛び移っただけだ。




暗くなるのが早い、冬。

不思議と、それほど寒くなかった。


それでも耳だけは冷えて、パーカーのフードを目深にかぶって防寒した。




帰路の途中で、繁華街を行く。


近道をしようと通った路地裏では、学校帰りの男子中学生に暴力を振るって遊んでいる、愚鈍で低能な不良が数人いた。



『ん?子ども?』



不良の1人が、私に気づいた。