パニックに陥る先生を、クスクス笑う。



『久しぶり、仁奈だよ。忘れてないよね?まさか先生になってるとは思わなかった』



返事を待たずに、仁奈さんを演じる。


もう先生は、私をファンタジーに侵された厨二病だと、小馬鹿にできる精神状態ではない。



『どうして、私をいじめてたのに、先生をやってるの?』




このままではダメだと本能で察知した先生が、未だ笑顔の私を黙らせようと、片腕を振り上げた。



小学生だから、いじめていた仁奈さんよりももっとか弱いから、黙らせるのは簡単。


……とか、思ってないよね?




私を甘く見すぎだよ、バーカ。





先生の腕が私の頭を鷲掴みにする前に、扉を左足で軽快に蹴り、高く跳んだ。


先生の左肩に右手を乗せ、軽い身のこなしで先生の後ろに回る。



背中に人差し指の先を当てて、不敵に笑う。



『バンッ!』