仁奈さんは、黒髪のボブだったらしい。




放課後になって一度帰宅した私は、ミディアムロングだった髪の毛を、ばっさり切った。


黒い髪が顎下で整えられ、仁奈さんの面影を帯びる。




お母さんに写真を見せてもらったが、本当にとても可愛らしい女の子だった。少女漫画で例えるなら、王道ヒロイン系。モテモテだったに違いない。





午後6時少し前。

過保護な両親には『友達に夕飯に誘われたから行ってくる!』と嘘をつき、家を飛び出した。




目指した先は、学校。


ちょうど先生が校舎から出てきた。



徒歩で帰る先生を尾ける。


先生は、繁華街近辺にあるアパートの2階の角部屋に入っていった。



『ここが先生の家か』



独身だったはずだから、ここで一人暮らししているようだ。


尾行したことがバレないように、5分後にインターホンを押した。