『聞いて!しかも、そのいじめに関わった生徒が、円堂って苗字なんだよ!びっくりでしょ?』



嘲笑う声が、癇に障った。


今電話している先生は、本当に私の知る“先生”なんだろうか。



『えー、ちょっと、忘れたの?ほら、昔いたじゃん。円堂仁奈って奴。そうそうっ、うちらがかるーく甚振っただけなのに、あっさり自殺しちゃった子!』



は?



『わかるー。あんなんで死ぬとか、まじないわ。弱すぎ。でも、実際受け持ってるクラスにいじめがあると、いろいろ大変なんだよね。え?もちろん、いじめがあることは、生徒の親には隠したよ!だって、教えたって面倒なだけじゃん』




お母さんやお父さんは、仁奈さんが亡くなって、今でも苦しんでいるのに。


なぜ先生は、いじめた側だというのに、苦しんでいないのだろう。



仁奈さんを死に追いやったくせに。




復讐してやりたい。

第三者であり、全く無関係でもないからこそ、制裁を与えてやりたい。





――多分、この時だ。


私が完全に、“悪”に染まったのは。