職員室に先生はいなかった。

入れ違いで退出したらしい。



『先生、どこにいるんだろう』



そう遠くには行っていないはず。




職員室のある階を探し回っていると、突き当たりを曲がった奥にある、人気の少ない空き教室から先生の声が聞こえた。


あの空き教室にいるのかな。



扉の小窓から覗いてみれば、やはり先生がいた。


わずかに扉をスライドさせて、やめる。



『うんうん、そうなの、それでさー』



先生は電話中で、私は空気を読んで扉を閉めようとした。



『昨日、クラス内でいじめがあったんだよね』



数センチの隙間を残して、手を止めた。



先生、なんで。

そんな陽気に喋ってるの?