どうして、あの男性2人の声が、こんなにもクリアに聞こえてくるんだろう。


どくん、と胸騒ぎがした。



「っ、ごめん」


「え?」


「お、おい!幸珀!」



急に走り出した私に、一拍置いて、真修も朔もわけがわからず当惑した。




また振り回されて終わりかもしれない。

偽NINAは、いないかもしれない。


それでも、私の直感が、判断した。



今すぐ行け、と。




信ぴょう性があるかどうかは、わからない。


だけど、南方面にある廃校に現れたことこそが、私を不安にさせた。




あの廃校は、私にトラウマが芽生えた場所だから。