せっかくおめかししてきたのに、無駄になっちゃったな。
お母さんがわざわざ用意してくれたワンピースさんに申し訳ない。
「どうした?」
「え?」
「なんか暗い」
「そんなことないよ。元気だよ」
知らないうちに隣に並んでいた凛に心配され、ニッと陽気に笑ってみせる。
凛は優しいな。
前方ではしゃいでるガキどもと違って。
「あのさ、凛」
「ん?」
「さっき言ってた『守ってやりたくなるところ』って、どういう意味?」
さりげなく、何気なく、問いかけてみる。
凛の長い前髪が、さらりと揺れた。
「お前は絶対、見て見ぬフリせずに立ち向かおうとするだろ?」
「そ、そうかな?」
「そういうところはたくましいのに、何もかもわからなくなると頼ってくるところが、危なっかしくて守りたくなる」
凛の声色は、いつもより温かかった。