「なあ、剛~。あとでさ、あそこの女子大生がいるテーブルに突撃しちゃわないー?」
「んー、どうっすかなぁ」
「迷惑行為はやめろ」
弘也のナンパ計画を、たかやんが一刀両断して食い止めた。
チャラ男の脳内は、ピンク色に染まってそう。
どうせなら、ナンパでもなんでもして、さっさとどっか行け。そして、二度とデートの邪魔しに戻ってくるな。
「幸珀」
「なに?」
不意に、目の前に座っている凛に名前を呼ばれた。
凛の声ってずっと聞いていたくなるくらい、透き通っていて綺麗なんだよね。いわゆるイケボってやつだ。
今度、凛とカラオケに行って、その美声が紡ぐ歌を聴いてみたい。
「このシュークリームうまいぞ。食うか?」
「食べる食べる!」
チョコレートクリームがたっぷり詰まった、一口サイズのシュークリーム。
チョコ好きな凛がおすすめするんだから、超絶美味しいのだろう。