ほとんどの机が下げられた教室の真ん中に、向かい合わせの形で2つずつ配置された机に、私とBくん、それからそれぞれの親が座る。


はみ出すように脇にもう1つ在る机には、先生が座っていた。



最後の1人である、私の親を待っていた。

他のクラスメイトは既に下校している。



Bくんの母親は、私の斜め前の席で、ずっと私を憎らしげに凝視していた。


その隣で、Bくんが居心地悪そうに身を縮こませている。




ガラッ、と教室の扉がスライドされる。


お母さんが慌てた様子で訪れた。



『遅くなってすみません』


『幸珀ちゃんのお母さまですね?』


『は…………い』



一度立って礼をした先生に、お母さんは目を瞠る。


お母さん……?



『どうかしましたか?』

『あ、い、いえ……』



何事もなかったように対応するお母さんに、私だけが疑念を抱いていた。