私は、ヒーローになるんだ。




両頬を思い切り叩いて意欲を燃やしてから、ガラッ!と勢いよく扉を開けた。


思った以上に音が響いて、教室にいた全員の視線が私に集まった。




今にも泣き出しそうなAくんを、ほうきでつついていたBくんと彼の友達が、私が来た途端露骨に顔を険しくさせる。


Bくんがため息まじりに口角を上げて、Aくんから離れようと教室を出ようとした。



しかし、Aくんを守るようにAくんの前に立った私は、素早くBくんの腕を掴んで逃げるのを阻止した。



『なんだよ』


『あんたがダサい真似をまだ続ける気なら、私は絶対に許さない』


『は?』



今日の私は、昨日までの私とは一味違う。

今まで通りにいくと思うなよ。




『うぜぇな。放せよ』



Bくんが私の手を振りほどこうとするが、びくともしない。


Bくんの腕を掴む握力を、さらに力ませた。