あんたらしくないよ?


桃太郎に何があったんだろう。



「そういえば、お前、路地にいる幸珀を呼びに行ったのに、1人で戻ってきたよな?」


「えっ、そうだったの?」


「さっきは見つけられなかったって言ってたけど、思えばその時からなんか変だった」



今日の副総長はよく喋るなぁ。



……って、今はそんなこと、どうでもよくて。



桃太郎が私を呼びに行ったって、本当なの?


私は作戦通り、ずっと路地にいたから、容易く見つけられたはず。迷子にでもなってたの?



「何があったんだ?」

「……えっと、その……」



桃太郎の濃いグレーの瞳を泳がせながら、ちらりちらりと私を捉えては、外す。


いやにたどたどしい口調が、胸を締め付けるのはどうして?



パーティー気分で賑やかだった周りが、私と桃太郎の微妙な空気感に侵食されていった。




「……実は、」


言おうか言わないか迷っていた沈黙を破る、桃太郎の弱々しい呟き。