全然「返せ」って言って来ないんだもん。


私の物にしちゃおうかと思ってたよ。



「一体何を聞かせたんだ?」


「聞きたい?」



剛は素直に頷いた。

ならば聞かせてしんぜよう!


音量を大きくして、再生ボタンをポチッと押した。




『だから俺は、おじいさま側に付いたフリをして、おじいさまの残虐な一面を残した証拠を公にしようとしたんだ。まあ、裏切り者になってまでおじいさまの目を欺きながら集めた証拠は、無意味も同然だったらしいがな』


『首長の本性が暴かれれば、計画も水の泡になって、不良達も元に戻るって考えたわけか』


『ああ、そうだ。鷹也達が俺を助けてくれたみてぇに、今度は俺が皆を助けたかったんだ』




洋館に反響する、私が剛ん家に行った時にしてくれた、剛の告白。



「いつの間に録ってやがったんだ!?」


「企業秘密です」



やっぱり録音してたことに気がついてなかったんだね。


私のプロ技、すごいでしょ?