これは現実なのか、信じられなそうに瞳を潤ませた剛に、弘也が衝動的に口を開く。
「僕は……僕達は剛のこと信じてた!!」
「嘘つけ。揺らいでたくせに」
「幸珀、それは言わない約束だろー!?」
若干取り乱す弘也が面白くて、含み笑いをする。
「でも、皆の気持ちは本物だよ」
私は剛を見つめながら、囁いた。
神雷は裏切った仲間のために、積極的に突き進めた。
まだ気弱なところもあるけど、踏み出せているのは確かだ。
だからこそ、作戦はうまくいき、今ここで剛を笑顔で迎えている。
私が一括入れてあげたおかげでね。
「皆にコレを聞かせたら、ほとんどが号泣してたことが、本物だっていう何よりの証拠だよ」
ずっとポケットに忍ばせていたコレを、剛に見せびらかす。
「そっ、それは、俺の録音レコーダー!」
「ずっと預かってたんだよ」
「……すっかり存在忘れてた」
そうだと思った。