そうですよ、バカですよ。


師匠とはまた系統の違うバカですよ。


自覚してますけど、何か?




「じゃあ、行ってくる」


「遅くなってもいいわよ」


「普通逆じゃない!?」


「いいじゃない。生きてればそれでいいわ」



私の家は、自由尊重をしすぎてる放任主義。


これは、私が望んだこと。



自由でいたかった。


縛られたくなかった。



――私の心にトラウマを刻み込んだ、あの時から。





「行ってらっしゃい」


「行ってきまーす」



お母さんに見送られながら、玄関の扉を開けて家を出た。



茜色の空の下、最短距離で神雷のたまり場へ向かう。


冷たい風が、私の細い髪をさらった。