善は急げだ。


私は覚悟を決めて、急いで自宅へ帰った。





家に着いて、「ただいま」も無しに自分の部屋に入る。



師匠に見つかってもごまかせるように、変装していかなくちゃ。


クローゼットを開けて、中学での文化祭で使った学ランを引っ張り出した。


まだ持っててよかった。



すぐに着替えて、鏡の前に立つ。



「なかなかのイケメンじゃない?」



どこをどう見ても、ちょっと小さめの男子高校生だ。


胸元まである黒髪はひとつに結ったし、さりげない着崩しも完璧。




鏡の前で、数回決めポーズを決めてみる。



ふふふ、自分の中にこんな魅力があったなんて。


そこらへんの男子より、モテちゃうかも。



……って、私がイケメンになってどうする!


私はイケメンな彼氏が欲しいんだよ!!