あぁ、そうだった。
10日前、おやつを買いにコンビニに寄った帰り道で、カツアゲされて困ってる人を見つけて、反射的に助けちゃったんだった。
しかも、カツアゲされてる人が師匠で。
それを知って、すぐに逃げたんだ。
すっかり忘れてたよ。
でも、よかった。心底ホッとした。
第2次パーカーブームがきてたおかげで、パーカーマンは私だってバレずに済んだ。
私が喧嘩の強い女だってわかったら、
気弱な師匠は私を避けるか、崇拝するか、師匠と弟子を交代するかのどれかを選ぶだろうから、
私の本性を、師匠には絶対に教えたくなかったんだ。
「幸珀もパーカーマンを知っていたなんて、びっくりしたよ!」
ほら、やっぱりね。
師匠のキラキラとした眼差しに、顔を引きつらせる。
パーカーマンの正体は知られていないけれど、ヒーロー的存在に弱い師匠は、パーカーマンのファンになってしまったらしい。
私が、ヒーロー、ね。
『ヒーローか悪役になればいいんじゃねぇの?』
“あの人”の言葉が過って、自嘲した。
“あの日”から堕ちてる私には、ひどく、不釣り合い。