よかったね、副総長に『うまい』って言ってもらえて。



でも、さすがにうるさいよ?


地響きが起こりそうなくらい、声量でかかったよ?



私は今、超幸せな気分に浸ってるの。


あと一口で終わってしまう幸せ気分を、バカでかい声に壊されたくないの。



この気持ち、わかってくれるよね?


だから、もうちょーっと、声を抑えてくれる?




そして、私は最後の一口を大きな口の中に入れ、頬張り、あっという間に自分の分のチョコレートケーキを食べ終えてしまった。


幸せな時間は、たった一瞬だけだった。



うぅ、もう食べちゃった。


おかわりをねだりたいけど、余りは無い。



幸せが過ぎ去った後は、悲しみしかない。




俯いていたら、ふと隣から視線を感じた。


顔を上げると、副総長が私をじっと凝視していた。



なに?私、今あなたに構ってられる元気ないんですけど。



口の中に残っていたチョコレートの甘さが消えてしまった直後、副総長の手が私の顔面めがけて迫ってきた。



「!?」

怖い、怖い、怖い!



落ち込んでるマイハートに、恐怖心を与えるつもり!?


副総長が何を考えてるのかわからないから、さらに怖い!!