結局、午前中は誰とも話せなかった。

あたしは自分の席で、お弁当を広げる。


「ねぇ、今日の集まりに顔出す?」

「行く行く!!」

「今から、楽しみで仕方ないよ~」


近くの席の女子たちの会話に、チラッと視線をやる。


「誰でも良いから、彼女になれたらなぁ~」

「それ、どうなの?」

「だって、みんな顔良いし。選べないよ~」


楽しそうですねぇ~。

話の内容はわからないが、彼女たちが楽しみにしているは傍から見ても充分伝わって来る。


「千郷(ちさと)は良いよねぇ~。彼らとも話せるし」

「そうそう。あたしにも、千郷みたいにお兄ちゃんが居たらなぁ~」


・・・千郷?

あたしの知り合いにも、1人同じ名前の子がいる。

その子にも、兄が居た。