翌朝、普段通り朝食を食べて歯を磨いた。
昨晩のことは夢じゃないだろうか?
あんな甘い甘い、思い出すだけで「きゃっ」って顔を覆いたくなるようなシーン。
嘘みたいだ。
愛しい彼にあんな風にキスされて、抱きしめられて・・・「キスしたい」だなんて!
体中がきゅんきゅん言ってる。
「お姉ちゃん、にやけてる。」
洗面所に入ってきたユカが鏡に映る私に向かって言った。
一気に現実に戻される。
「にやけてなんかないわよ。」
「うそ。さっき一人で笑ってた。」
ユカは歯ブラシに歯磨き粉をつけた。
「何?いいことあった?」
歯ブラシを加えながら、私の肩に自分の肩をぶつけてくる。
「別にぃ。」
私はユカから視線を上向きに外してしらばっくれた。
迂闊にこいつには言えない。
すぐに母親に筒抜けだもの。
それに、ショウヘイがバツ一なんて知ったら何ていうか。
まだはっきりしないことは絶対耳に入れたくなかった。
キスはしたけど、付き合ってる訳じゃないんだよね。
キスしたいとは言われたけど、好き、とは言われてない。
三十路も過ぎると、妙に疑心暗鬼。
素直に言葉を受け取れなくなる。
全て疑ってしまう。
本当に大丈夫?って。
「ユカは新婚旅行決まったんだっけ?」
色々勘ぐられると困るから話題を変えた。
「えー、まだ迷ってる。彼はハワイがいいって言うんだけどさ、私はせっかくだしヨーロッパがいいのよねぇ。お姉ちゃんこないだオーストリア行ってきたんでしょ?どうだった?」
「オーストリア、よかったわよ。」
「私、サウンド・オブ・ミュージックっていう映画すごく好きなのよねぇ。確か舞台はオーストリアだったから、ちょっとでもいいから行ってみたいのよ。ドイツとドッキングさせたツアーでもいいかなって。」
「いいんじゃない?」
「えらく素っ気ないのね。」
「そんなことないわよ。私に相談するより彼に相談しなさいよ。」
私はうがいを終えると、「お先に。」と言って洗面所を後にした。
背後から「お姉ちゃん、絶対何かあったでしょー!」と叫ぶユカの声がしていた。
昨晩のことは夢じゃないだろうか?
あんな甘い甘い、思い出すだけで「きゃっ」って顔を覆いたくなるようなシーン。
嘘みたいだ。
愛しい彼にあんな風にキスされて、抱きしめられて・・・「キスしたい」だなんて!
体中がきゅんきゅん言ってる。
「お姉ちゃん、にやけてる。」
洗面所に入ってきたユカが鏡に映る私に向かって言った。
一気に現実に戻される。
「にやけてなんかないわよ。」
「うそ。さっき一人で笑ってた。」
ユカは歯ブラシに歯磨き粉をつけた。
「何?いいことあった?」
歯ブラシを加えながら、私の肩に自分の肩をぶつけてくる。
「別にぃ。」
私はユカから視線を上向きに外してしらばっくれた。
迂闊にこいつには言えない。
すぐに母親に筒抜けだもの。
それに、ショウヘイがバツ一なんて知ったら何ていうか。
まだはっきりしないことは絶対耳に入れたくなかった。
キスはしたけど、付き合ってる訳じゃないんだよね。
キスしたいとは言われたけど、好き、とは言われてない。
三十路も過ぎると、妙に疑心暗鬼。
素直に言葉を受け取れなくなる。
全て疑ってしまう。
本当に大丈夫?って。
「ユカは新婚旅行決まったんだっけ?」
色々勘ぐられると困るから話題を変えた。
「えー、まだ迷ってる。彼はハワイがいいって言うんだけどさ、私はせっかくだしヨーロッパがいいのよねぇ。お姉ちゃんこないだオーストリア行ってきたんでしょ?どうだった?」
「オーストリア、よかったわよ。」
「私、サウンド・オブ・ミュージックっていう映画すごく好きなのよねぇ。確か舞台はオーストリアだったから、ちょっとでもいいから行ってみたいのよ。ドイツとドッキングさせたツアーでもいいかなって。」
「いいんじゃない?」
「えらく素っ気ないのね。」
「そんなことないわよ。私に相談するより彼に相談しなさいよ。」
私はうがいを終えると、「お先に。」と言って洗面所を後にした。
背後から「お姉ちゃん、絶対何かあったでしょー!」と叫ぶユカの声がしていた。