彼の体がゆっくりと私から離れていく。

ショウヘイの顔が至近距離にあった。

「キスしたかったから。」

彼の目と鼻と口がすぐそこにある。

じっとショウヘイの目を見つめる。

「今もキスしたい。」

彼の薄くてほんのりピンク色の形のいい唇が動く。

なんだろう。

ショウヘイが、ショウヘイの全てが愛おしくてたまらない。

「私も。」

彼の唇が優しく私の唇に触れた。

彼の中に吸い込まれていく。

こんなキスは初めてだった。

もう少し・・・と思った時、彼の唇が離れる。

彼の翻弄技だ。

「個室でよかったね。」

私が言うと、ショウヘイは一瞬目を丸くして、そして笑った。

「やっぱり君は変わってる。」

そして、強く私を引き寄せた。

「個室だからキスできた。」

彼は笑いながらそう言うと私の耳にキスをした。


こんなにも幸せでいいのかと思うくらに幸せな気持ちだった。

だけど、その先の未来には幸せは続くんだろうか。

結婚願望のない彼と結婚願望ありまくりの私。

幸せな気持ちの裏側は不安でいっぱいだった。

私達は、次に二人で会う約束もせぬまま、ビルの下で別れた。

どうなっていくんだろう。大丈夫?私!