「そんなに俺の無罪放免確認してどうするんだ?お前、さっきから泣きそうな顔してるぞ。」

ショウヘイが困ったような顔をしてうつむいた。

そして、額に手をやってしばらく考えていた。

「俺からは他の女に手は出してない。部長の目もあるしね。俺はそんな馬鹿じゃないよ。」

「それならよかった。」

その言葉が聞けただけで泣きそうだった。

ようやくショウヘイが信じられる。

安心して椅子に深くもたれた。

その時、横に座っていたショウヘイが私の上にふわっと覆い被さってきた。

被さると言うより、抱きしめられている。

「ほんと、お前ってさ。時々ずけずけ物言って、強がって、なのに急に誰かの手を借りないと生きてけないみたいな顔して。・・・お前みたいな奴、俺一番苦手なんだ。どうしていいかわからなくなる。」

私の耳元でささやくような小さな声で言った。

耳の奧から全身にその声が行き渡り、頭の中が混乱してる。

ワインも入ってるから?

彼も酔っ払ってる?

彼の熱い胸が私の胸と重なっている。

どちらの鼓動かわからないくらいにドキドキしていた。

ショウヘイの熱を感じながら、窓の外の夜景がキラキラと瞬いている。

今なら聞ける。

聞かなくちゃ。

「どうして、こないだ私にキスしたの?」

ゆっくりと彼の耳元にささやいた。