泣いてるとこなんか見られたら、また心配かけちゃうと思ってぐっと堪える。

「ねー、トモエ。トモエは最近どうなの?まぁ、それどこじゃなかったかもしれないけど。」

トモエは急に自分に振られて驚いた顔をした。

「わ、私?」

「そんな驚くことないじゃない。さては?」

私はニヤリと笑って、トモエに顔を近づけた。

色白のトモエの頬がパーッとピンクに染まる。

「顔赤くなってるー。何々?今度は私が聞く番。」

トモエのピンクの頬を指で軽くつついた。

「仕事辞めた後に不謹慎だなとは思ったんだけど、母親が私のこれからのこと心配して、どうしてもっていうから・・・お見合いしたんだ。」

「お見合い?」

「うん、そう。二ヶ月ほど前だったかな。私の調子も随分回復したのを見計らって、前々から母が受けてた縁談があってね。」

「へー。お見合いだなんて、トモエらしくもないけど。で、どうだったの?どんな相手?」

「すごい年上。」

「すごい年上?」

年上の話は、ミユキから聞かされて、ちょっとやそっとでは驚かないぞ。

「今、45歳だって。」

45歳、ってことは15歳上かー。ミユキにはまだまだ届かない。

「いいじゃん、年上も包容力があって。で、会ってみてどうだったの?」

「あまりに大人で、会った瞬間はひいちゃった。でも・・・話してたら、すごく温かくて優しくて、安心できたわ。若い男性とは違って。」

しっかりもののトモエは、ひょっとしたら年上が合うのかもしれないってふと思った。