そこが一番のネックだった。

相手の気持ちもまだわかんない上に、もしうまくいったとして、ずっと付き合っていけるのか。

うちの親だって、絶対反対するに決まってる。

それに、私の友人達だって。

この日本でも、今時離婚なんて珍しくなくなってはきてるけど、またそれとこれとは話は別だ。

「でも、チサは彼のこと好きになっちゃってるんでしょ?」

「それは・・・。」

「そりゃ、好きになっちゃうよ。見知らぬ土地で無償で助けてくれてさ、そんでもって日本で再会して、あんなおしゃれなキスまでされちゃって。チサにみたいに真面目な子は特に胸を射貫かれるよねぇ。」

私は黙ってコーヒーを飲んだ。

「トモエはどう思う?」

「うーん・・・。」

トモエはほおづえをついて、眉間に皺を寄せた。

「・・・その答えをチサに言うのは難しいわね。チサは私の大事な友達だし、でもチサの気持ちもあるわけだし。」

親友にその答えを求めるのはちょっと酷だよね。

それこそ自分で決めろって感じ。

また他力本願な私のダメダメな部分が顔を出していた。

「流れに身を任せてみたら?気持ちを伝えたくなったら伝えればいいし、今のまま様子を伺っていてもいいし。彼が何か行動起こすのを待っててもいいし。ごめん、そんな答えしか思い浮かばない。」

ゆっくりと息を吐いた。

「そうだよね。あまり慌てて何か行動起こすのも、私も気がひける。相手が相手だけにさ。でも、どうしてあんな奴に気持ち持ってかれたんだろ。ほんと、自分でも嫌になるよ。タカシと別れたばっかで次こそはいい恋愛して結婚するぞ!なんて意気込んでたのに。」

「まだわかんないよ。どうなるかなんて。」

トモエは笑って、私の肩を叩いた。

そうだね。

何がどうなるかなんて、まだわからない。

「トモエに話せてよかったよ。誰にも話せてなくて、すごく苦しかったんだ。」

「いつでも連絡してよ。苦しくなったら。」

トモエが嬉しそうにホットケーキを食べてる姿を見ながら、なぜが泣きそうになった。