出てくるのはため息ばかり。

待てどもショウヘイからの電話はならない。

何度かショウヘイに電話をかけるも繋がらない。

どれくらい経っただろう。

今、この階のフロアでは人事部だけが明るく照らされている状態だった。

よくよく考えたら、女子一人で危ないとは思わない?

一応入り口はセキュリティロックされてるけど。

そう思ったら、だんだん不安になってきた。

お腹も空くし、ビールも飲みたい。

岩村課長、誰か料理持たせてこちらに寄こすって言ってたのに!

かれこれ1時間は経ってんじゃん!

ひどい上司だよ、全く。

お茶室でコーヒーを入れた。


・・・カタン


誰もいないはずのこのフロアの奧の方から聞こえた。

何かを開ける音?

ひょっとしてセキュリティロックが外れた音?

誰かが私の料理を持って来てくれた?

それにしてはやけに静まりかえってる。

ミユキだったら、私の名前を呼びながら入ってきてくれるだろうけど、違う人なんだろうか?

ゆっくりとした足音が近づいてくる。

お茶室で、じっと息を潜めた。

どうしよう。

誰?

見るのも恐いんですけど!


足音はだんだんと大きな音となって私の耳に響いてきた。

そして、お茶室の前でその足音は止まる。

オカルトじゃない。こんなの。

だ、誰??

心の中で叫んだ。