今の私には、結婚＝ただの焦りしかない。

それに引き替え、私よりも年下のミユキはなんて堂々と結婚したかった男性が彼以外いないなんて言えちゃうんだろう。

この先、彼以上の人が出てくるかどうかなんてわからないのに、こんなにもゆったりと構えていいられるなんて。

「でね、チサ先輩、今日話したかったことってね。」

ミユキは急に私に向き直り、嬉しそうな顔で言いはじめた。

「こないだの合コンで付き合い始めた彼と別れちゃいました！」

「ん？！」

焼き鳥を口にくわえたままの姿勢で、ミユキの方に顔を向けた。

慌てて鳥のかけらを飲み込むと、

「その彼ってつい一ヶ月ほど前からつきあい始めたんじゃなかったっけ？早くない？」

「そうそう、最短かも－。」

ミユキは別れたって話なのに妙にすっきりした表情で笑っていた。

「別れた原因も、やっぱりその年上の彼の影響なの？」

「そうですねぇ。会話してても、ちょっとした相手のしぐさも、私への言葉も、全部、彼には敵わないんです。多分、これからもずっと。」

「じゃ、その彼と以外は結婚なんてあり得ないんだ。」

「そうかもしれません。」

「いいの？」

「別にいいです。一生一人で生きていくことになってもそれはそれでいっかって思ってます。」

なんだか、マキといい、ミユキといい、一人で生きていくことに抵抗のない女性が私の回りには多いような気がする。

そういう潔さってどこから出てくるものなのかしら？