やっぱり・・・。

「私は結婚したい。」

マキは「へー、くだらない男にあんな振られ方したのに?」と笑いながらお茶を飲んだ。

「自分の気持ちを完全にリセットするにはどうすればいい?」

タカシのことを私の中から完全に抹消したかった。

わずかでもタカシへの思いが尾を引いていたら、次に進めないような気がしていたから。

「そうね・・・。」

マキは横髪を人差し指で巻きながら、頬杖をついてしばらく考えていた。

「明日から海外にでも飛び出しちゃえば?もちろん1人で。」

「1人で?」

「そう。ツアーとかじゃなくて、飛行機のチケットだけとってさ。何の準備もなく単独で海外行くなんて、かなりの刺激と冒険になるわよ。」

「英語もしゃべれないのに?」

「しゃべれないなら尚さらいい。そういう過激な冒険が現状を払拭するには一番手っ取り早い。」

確かに。

既に、そういう提案された時点で一瞬タカシのことは忘れていた。

「わかった。今日有休出してくる。」

「思い立ったが吉日よ。」

私は大きく頷いて、食べかけのハンバーグを口に押し込んだ。