18時少し過ぎに慌てて1Fに降りる。

ミユキは既に来ていて、ビルの回転扉の前でスマホをいじっている姿が見えた。

「ごめん!ミユキ、お待たせ。」

ミユキは顔を上げると、にっこり笑って、

「全然!今来た所です!」

と言って、スマホをバッグに仕舞った。

二人で回転扉をくぐる。

「どこいく?今日はミユキが決めて。何か食べたいものある?」

「えーっと。なんだか今日は焼き鳥って気分なんですよねー。近くにありましたっけ?」

「あるある。ほら駅前の「鳥吉」。ちょっと創作系の焼き鳥もあったりしておいしいの。」

「そこ前から行ってみたかったんです!是非そうしましょ。」

ミユキは私の腕をつかんで、急ぎ足になった。

「あはは、お腹減ってるのね。私もよ。今日はいっぱい食べて飲むぞ-。」

「了解です!」

ミユキと二人、駅前の店に向かった。

店の前は既に鳥を焼く香ばしい醤油の香りが漂っている。

この匂いにつられて入ってくるお客さんも多いんだろう。

カウンター席が丁度二人分空いていた。

定番の焼き鳥メニューを頼んだ後は、ミユキにお任せした。

焼き鳥が来る前に生中で乾杯!

くーっ!

喉に染み渡る-。

焼き鳥の香りを吸い込みながらのビールはまた格別だった。

一瞬、嫌なことは全て忘れ去ることができる。

この世においしいものとお酒がなくなったら悲劇だと、本気で思う。

次々と頼んだ焼き鳥が運ばれてきた。

「おいしいです!どれもこれも。」

焼き鳥を頬ばるミユキの満足気な顔を見ながら、心がほくほくする。

自分の薦めたお店に満足してくれるだけで嬉しくて癒される。

今日はミユキを誘ってよかったとあらためて思った。