「そうですか・・・。」

「そうなんだ、君もショックだろうけど、諸々の手配を急ぎで頼むよ。」

岩村課長は私の肩をポンと叩いた。

ふぅ。

なんだかタカシの一件からショックな出来事が続いている。

この連鎖を断ち切る為にも今日は誰かと飲みに行きたい気分。

まぁ、飲みに行くのはともかく、まずは課長から頼まれたことを先に進めた。

部長への送る言葉は、岩村課長、進藤課長、平井課長にお願いし、お花の手配を済ませる。

「ミユキ、ごめん、ちょっといい?」

コピーしに向かうミユキに声をかけて、お茶室に呼び入れた。

「どうしたんですかぁ?」

「あのさ、急なんだけど、今日の夜って空いてる?」

「空いてますよー!」

ミユキの目がキランと輝く。

「ちょっとさ、私の憂さ晴らしに付き合ってくれないかな?もちろん今日はご馳走するし。」

「もちろんです!ご馳走なんていいですよー。私もチサ先輩に話したいことあったんで丁度よかったですぅ!」

え?話したいことって何?

最近、ショック続きだから、思わずその話とやらに警戒する。

だけど、そこは、勝手な憶測で反応しないのが大人なわけで。

「いつもありがとうね。じゃ、18時に1Fフロアでいける?」

「はい!仕事ちゃっちゃと終わらせて向かいます!」

ミユキは満面の笑顔で、ペコリと私に一礼すると足取りも軽やかにコピー機へ向かって行った。

私よりも5歳下の彼女は、本当にかわいい。

マキと同じく私にはないものをたくさん持ってるんだよね。

後輩ながら、話してると、意外と勉強になることもあったり。

意外とっていうのは余計か。

とりあえず、今日の夜の予定はオッケー。

空欄の多いスケジュール帳に、また書き加えた。

スケジュール帳が埋まっていくのが快感になってきたら、やばいって誰かが言ってたっけ。

でも、そんなことはどうだっていいわ。

楽しければいい。

時計とにらめっこしながら、18時までに下に降りれるよう仕事を片づけた。