「えーっと、どっちがどっちだったっけ?一人は労務課、一人はそうそう教育課だったんですけど。」

ミユキは慌ててパソコンを開いて、異動配属のページを探し始めた。

その時だった。

「みんなぁ、ちょっと第一会議室に集まってくれるか。」

会議室から出て来た、岩村課長が人事部フロアに響き渡る大きな声で言った。

人事部スタッフ達は、ぞろぞろと会議室に入っていく。

ミユキはまだパソコンの前で眉間に皺を寄せながら、探していた。

「もういいよ。どうせ今からわかるし。私達もいこ。」

そう言いながらも、教育課にイケメンが来たらどうしよう、なんて密かにときめいていた。

「あ、あったあった。」

歩きかけた私の背後でミユキの声が聞こえた。

「行くよ-。」

私はミユキに声をかけると、既にがらんとなった人事部フロアから会議室へ急いだ。

会議室は人事部全員集まっていたためぎゅうぎゅう状態。

社員達の隙間から、ようやく岩村課長の顔が見えた。

「えー、今日から新しく人事部の仲間入りした山田くんと澤村くんだ。」

恐らく岩村課長の横にいるであろう二人の顔を見たくて背伸びする。

でも、背の低い私にはなかなかその姿が見えなかった。

「簡単に挨拶してくれ。」

課長が横にいるであろう二人に言った。

「えー、山田トモユキと申します。」

先に聞こえてきた声は小太りの山田さんだった。

ようやく前に立っている人の腕の隙間から山田という人の顔の半分が見えた。

ははん。

ミユキが言ってた通りで、小太りで優しそうな人だった。40代後半くらいか?

山田さんの挨拶の途中で、ミユキが私の後ろの扉からそっと入ってきた。

「わかりましたよ。」

私の耳元でこそっとささやく。

「教育課に配属されたのは、」