ふっと周りを見回す。

傘をさして足早に帰るサラリーマンが一人私を追い越して行った。

私は今どこにいるんだろう?

どこに向かおうとしてたんだっけ?

足が完全に止まる。

本当に迷子になっちゃったよ。

ミユキもマキも、そしてトモエも、あれだけの不安と希望の間で葛藤してるのにどうして迷子にならないの?

私だけ、どうしてこんな思いで未だに彷徨ってるんだろう。

答えがわからないから進む友人達と、答えがわからなくて立ち止まる私。


恐い。

恐いんだよ。

その答えを知るのが。

どうして皆恐くないの?

ショウヘイが、もし私の前からいなくなってしまったら・・・もし誰かのものになってしまったらって考えるだけで足がすくんだ。

嫌われても、こうやってそばにいられるだけで満足してる私って、ひょっとして間違ってる?


その答えを自分で見つけなきゃなんない。

だけど・・・

ゆっくりとショウヘイの場所へ歩き出した。

雨は一段とひどくなっているようだった。

パンプスの中が歩く度にぐしゃぐしゃと嫌な音を立てた。

マンションの階段が見えてくる。

雨のせいで少し霞んでいる先に、人影。

階段の下に誰か座っている。

重たい体をなんとかしてその階段の方へ進めていく。

その人影は、じっとこちらを見ていた。

びしょ濡れになってこちらを見ているのは、

・・・ショウヘイだった。

一人で階段の下まで降りてきたの?

ショウヘイは松葉杖も持っていなかった。どうやって降りてきたの?

気がついたら、ショウヘイの方へ走っていた。