分かってる。

分かってるけど、やっぱり直球でショウヘイのクールな気持ちを投げつけられたら私はきちんとキャッチは今は無理だった。

「・・・そうだね。」

力なくそう答えながら、両手を下に降ろした。

キスしたいからしただけ。

何度もショウヘイとキスしたけど、ただの男の衝動的な行動ってだけ。

だから、キスした後は何も続かないんだ。

なんだか泣きそうになって、ソファーを立った。

「私もお風呂入ってくるね。」

「おう。」

上半身裸のショウヘイの横をすっと通り過ぎて自分の荷物が置いてある部屋に入った。

思わず扉をバタンと閉める。

お風呂に入るのにわざわざ閉める必要もないんだけど、ちょっとした自分の意思表示。

ショウヘイはちっとも悪くない。

だけどね。

なんだか色んな情けない思いがぐるぐる渦を巻いて胸の奥で回っていた。

扉を閉めることで一旦リセット。

リセットなんて簡単にできるもんでもないけど、扉が閉まる音は一瞬自分のもやもやに風を通してくれるような気がしたから。

自分の着がえをバッグから出して、大きく深呼吸する。

ゆっくりと扉を開けて脱衣所に入った。

さっきまでショウヘイのいた脱衣所。

いい香りのする石けんの香りがまだ残っていた。