ショウヘイが寝ている横をそっとすり抜けて、食べ終えたお皿をキッチンまで運んだ。

さっとお湯で流して、手早く洗剤で洗う。

ハンカチで手を拭きながら、またショウヘイのそばに行った。

ソファーに仰向けになってすやすやと気持ちよさそうに寝ている。

寝ている時はなんて無防備な顔してるんだろう。

オーストリアの時は一緒の部屋で泊まったけど、彼の寝顔なんて一度たりとも拝見してなかった。

そんな余裕もなかったから、ね。

無防備な顔だけどとてもきれいな顔。

ずっと見ていたかったけど、そうもゆっくりしていられない。

ダイニングの椅子にかけてあったタオルケットをそっとショウヘイの肩にかける。

そして、目の前のテーブルにメモを残した。

『急ですが友達と会ってきます。先にお風呂に入って寝てて下さい。 チサ』

いきなりいなくなってたら、いくらクールなショウヘイでもびっくりだろうしね。

・・・ってこともないか。とりあえずメモ残すのは礼儀だと思うから。

合い鍵、もらっておいてよかった。

上着を羽織って、バッグに合い鍵が入ってるのを確かめて玄関を静かに出た。

市内までは、電車で2駅。

スマホで地図を見ながら、駅までの道のりを急いだ。

電車も駅に着くや否ややってきてスムーズに乗れた。

ようやく、トモエと待ち合わせのホテルに到着する。

珍しくホテルまで走ったから額から汗が流れ落ちた。

ハンカチで額の汗をぬぐう。

ホテルのロビーは夜だというのに、結構人が多い。

少し高級なディナーでも食べたであろう老夫婦や、サラリーマンの集団がロビーのソファーを占領していた。

トモエはどこだろ?

キョロキョロと見回していたら、後ろから肩を叩かれた。